2016年6月7日火曜日

あなたが生きていれば

「私が死んでも あなたが生きていれば 私は生きていることになる」

ご法事で紹介させていただいた歌人の河野裕子さんの歌です。
私がこの言葉を始めて知ったのは2010年の某ニュース番組でした。
その番組では、確か、このように紹介されていました。

◆河野裕子さんは、乳がんのため64歳で逝去されました。
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歳で母親を亡くしたご主人の”母親”代わりになるんだと、最期までご主人を愛し、家族を思い、闘病中も台所に立たれたそうです。
冒頭の言葉は、そんなご主人に残された言葉の一つです。

他に、いくつかの歌も紹介されていました。
↓も、その中の一つです。

「さみしくて あたたかかりき この世にて 会ひ得しことを 幸せと思ふ」

そして、つい数ヶ月前、たまたまつけた深夜のテレビで、河野裕子さんのご主人、息子さん、娘さんが、裕子さんについて語るドキュメンタリー番組を見ました。
そこには、2010年の某ニュース番組で紹介されたイメージの河野裕子さんとは全く違い、死に直面して悶え苦しみながら、時に家族をののしり、当たり散らす裕子さんの苦しむ姿が、切々と語られていました。

正直、見終わった後は、なぜ、家族の方は、そこまで裕子さんのことを赤裸々に語ったのだろうと疑問に思いましたが、裕子さんの歌を読み返してみて、ふと感ました。
それは、家族の方は「裕子さんの歌は広く知られてはいるけれども、歌に込められた裕子さんの思いを、もっともっと深く感じてほしい。それには、裕子さんの苦悩した姿、生き様も知ってもらわなければならない。」と考えられたのではないかと思いました。

他にもすばらしい歌がたくさんありますので、ぜひ、皆さんも河野裕子さんの歌に触れてみてください。